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2011年8月 3日 (水)

Academic Rhapsody~過去を清算しよう(続き)

どこの大学においても、学長選考のプロセスでは、かなりの怪情報が飛び交うものである。もちろん、金銭や男女関係にまつわるスキャンダルは昔からあるが、最近では、種々のハラスメント、研究活動や研究費使用の不正に関する疑惑も、候補者にダメージを与える効果的な手法になりつつある。これらは、事実の把握・検証までにかなりの時間を要することから、かりに調査の結果、疑いが晴れても、その時までには候補者の選考が終わっている。学長選考には、学内の資格者による選挙の形式を取り入れている大学が大半であるために、対立候補に疑惑をかけることで選挙結果に影響を与えることができれば、「成功」なのである。しかも、今回の朝日新聞の報道の結果、学長選考委員会での選考が終わっても、不正の疑惑が生じた候補者は文部科学大臣から国立大学長として任命されない=本人から学長就任を辞退せざるを得ないという事実上の前例ができてしまった。考えてみれば、このことは、国立大学法人のトップの選考に大きな影響を与える重大な出来事である。選考結果を面白く思わない人間にとっては、結果が覆せるチャンスができたとも言えるのである。今後も、過去の研究費不正使用の事実が、国立大学長任命に影響し続けることになるので、自然科学系の有力な研究者の多くは学長になることが難しくなるかもしれない。また、学長選考委員会では、そうした事実がなかったか、十分に確認することが不可避になったのである。これは文字通り困難な作業である。

最後に、もう一度、申し上げたい。過去の研究費使用のルール違反を早く清算して、我が国の優れた研究者を守らなければ、学問の世界全体の秩序が混乱してしまう。不正を告発することも、自由に報道することも、事実に基づき処分することも、すべてに何ら異存はないが、それぞれが良かれと思って行動した結果、大学の中に無用な疑心暗鬼や深刻な対立が生じたり、悪意のない力量ある研究者が排除されたり、学長選考プロセスに大きな混乱が生じたりしてはならない。今回の一連の出来事には、何かこれまでとは違った嫌な感じを持っている。もう十分である。問題の本質的な解決に向かわなくてはならない。Nothing really matter to meとは言っていられない。

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この文章を書いた方の見識に感服致しました。この問題の関係者を個人的に存じ上げているので、「もう十分である」という言葉には、涙が出ました。

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