« なぜ上からの大学入試改革は頓挫したのか? | トップページ | なぜ文科省への私学からの批判が激しくなっているのか? »

2019年12月19日 (木)

外国人に分かってもらうのにはどうするか?

グローバル時代である。日本では海外の著作物が和訳されて、短いタイムラグで読める。しかし、和書が外国語で出版される割合は圧倒的に小さい。海外で出回っている日本に関する情報は、偏りがあると認識しなければならない。ジャレド・ダイアモンド著「危機と人類」下巻の第8章「日本を待ち受けるもの」を読んで、最も優れた海外の知識人が得ている日本に関する情報が、日本国内で得られる情報と、質的にもかなり差があるという印象を持った。これは、ダイアモンド氏の責任ではなく、日本側の外国語での甚だしい発信力不足に、その原因があると考える。商業出版の場合は、売れそうになければ出版もされないので、商業出版に頼らず、採算を度外視してでも出すべき情報は出していかないと、結局のところ損をするのは日本国民である。日本国内にいる私たちのように、ダイアモンド氏が依拠している情報への偏りに気づくチャンスがあれば問題は少ない。しかし、一般の海外の読者に、それを期待することは不可能である。ダイアモンド氏のような知識人の著作物は世界的なベストセラーになるため、その影響力は非常に大きいと見なければならない。情報の偏りによる気になる部分を除けば、提起されている課題や取り組みの状況に対する警鐘には、同感するところが多い。こうした著作物が海外で読まれて、日本の不都合な現状に対する理解につながることは、多少屈辱的ではあるが、日本国民にとっても基本的に好ましいことである。

特に、気になるのは、「中国と韓国」という項目における記述であり、信頼すべき日本人研究者による分析結果にはアクセスしていないものと思われる。「たとえば、日本の首相が南京を訪れ、中国人が見守るなかでひざまずき、戦時中の日本軍による残虐行為への許しを乞うてはどうか。」という記述には、日本人は謝罪を拒否してきた、南京で数十万の民間人を虐殺したことが前提となっている。これは、私の認識とは異なる。いわゆる慰安所において、「朝鮮や他国の女性多数を性奴隷にし」たこと、シンガポール首相経験者の言葉として、「拉致あるいは強制によって」とプロパガンダに即した認識に基づく記述も引用されている。南京事件に関しては、明確な意図を持ったプロパガンダの書籍がペーパーバックにまでなっており、その本には、ねつ造を含む「証拠」写真も多数掲載されているので、海外の知識人でさえも、そうした書籍から影響を受けざるを得ないだろう。また、そうした認識のもとに発せられた言葉が、さらにプロパガンダを増幅していく。韓国では、教育を通じて、世代を超えて今の若年層にまで「怨念」が継受されるに至って、「慰安婦問題」の解決のゴールは、ますます遠くなっていく。一時的に、相手と手打ちをしたつもりでも、その後、何度も蒸し返されるので、戦争を知らない世代の日本人大多数は、残念ながら、そのたびに隣国への嫌悪感を掻き立てられ、真の和解への諦めムードが増す結果になっている。

結論から言えば、プロパガンダには正しい情報の発信で対抗するしかない。外務省を中心に、重要な情報や著作物は、外国語に翻訳して、世界に発信していく必要がある。教育によって国内に強硬派を育成している相手と話を付けること以上に、世界の知識人の認識を是正することが、喫緊の課題であると感じる。特に、ダイアモンド氏のような知識人には、バランスの取れた情報を容易に入手しうるようにすることが、早く当たり前になってほしい。そうした努力は、決してゴールが遠くなることはないだろう。

 

« なぜ上からの大学入試改革は頓挫したのか? | トップページ | なぜ文科省への私学からの批判が激しくなっているのか? »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« なぜ上からの大学入試改革は頓挫したのか? | トップページ | なぜ文科省への私学からの批判が激しくなっているのか? »

最近のトラックバック

2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
無料ブログはココログ